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Getting around Prague プラハの地下鉄

文字情報を最小限まで減らし、分かりやすいグラフィックで表現する。プラハの地下鉄を例にした話。

昨年末に10日程チェコに滞在したのですが、その際プラハ市内の移動では主に地下鉄を活用しました。プラハでは会話上の英語は通じるものの、公共交通機関の表記はほとんどチェコ語でした。

チェコの公用語はスラブ語を源流とするチェコ語で、外国人にとっては発音どころか、字面を見ても何を意味しているのかすら難解。各所に多言語のリーフレットが充実しているのは国際的観光地ならではですが、言語に頼らない案内図、インフォグラフィックが各所に見られました。

地下鉄で移動してみる

現在「MALOSTRANSKA」という駅にいて、「Flora」という駅に行きたいとします。
ホームを挟んで両岸に上り下りの線路があるアイランド型のプラットホームです。

地下鉄MALOSTRANSKA構内の写真

線路のある壁は個性的なデザインで楽しいですが、そのラインがどちらに進むかどうかは特に明記されていません。日本ではよく左右の矢印と共に前後の駅名が書かれていますが、それは無いようです。

ホームの上には線路と垂直に次のような案内版があります。

地下鉄案内板

「MALOSTRANSKA」と書いてある緑の丸で示された所が現在地のようです。

線路の壁には線路と並行方向での案内が存在していませんでしたが、ここでは線路と垂直方向にこのラインの地下鉄マップをまとめて表示してあり、左の列車に乗れば右側に並ぶ駅に向かう、左の列車に乗れば右側に並ぶ駅に向かう、ということが直感的に理解できます。

「Flora」駅に行きたい場合、駅名は現在地より左側に書いてあるので「左側の電車に乗る」、そして6つめに書いてあるので「6つ目の駅で降りる」ということが分かります。

どちらのホームから乗ればよいのか、いくつ目の駅で降りればよいのか、がこの案内図1つだけで一瞬で分かります。2つめの「Mustek」が黄色のBラインと、3つめの「Muzeum」がCラインと連結しているということは言うまでもありません。

駅名以外に「Kolej」「Smer」という単語がありますが、意味が分かる人には少し親切に、分からなくても全く問題ないもの。「読ませる」文字情報が最小限に絞られています。

前提となる知識は最小限

日本ではよく最終駅名を利用して「◯◯方面行き」という表現が使われますが、もしその方法で案内されていたら「Flora」に行きたいだけなのに終着駅「DEPO HOSTIVAR」という駅名を覚えなければいけない。現在地「MALOSTRANSKA」の前後にどんな駅があるのかもチェックしておかなければいけない。

住人ならまだしも、短期的に訪れる外国人旅行者にとっては難しい駅名を覚えるのは出来るだけ少なくしたいもの。この地下鉄案内図は地味ながらも情報が完璧に整理され、デザインされているようで感激しました。

実際に、何の下調べもせずガイドブックも持たずチェコ語も分からず、初めてプラハに着いて初めて利用した時から何の迷いもなく目的の駅に行くことができました。これはすごいことだと思います。

読ませるのではなく、感じさせる

日本の大都市がよい例ですが「いろんな国の人が利用出来るようにしよう」となった場合、しばしば文字情報で解決しようとしがちです。
「出口」の下に連なるExit、Salida、退出、출구…の各国語。一見親切に見えますが、それ自体が情報を煩雑に見せてしまったり、いずれの言語も分からない人はどうするのかという問題が残ります。

プラハはヨーロッパに位置する国際的な観光都市であり、しかも旅行者のほとんどは独自言語であるチェコ語は話せない。そういう状況で、文字情報はチェコ語と英語との併記という安易な策ではなく、最小限のチェコ語表記に留め、インフォブラフィックでの表現が大きな役割を担っているように感じました。

まとめ:WEBサイトは異国の街

強引にWEBに関連付けてまとめます。

「インターネットに慣れない人が、WEBサイトにアクセスする。」
この状況は、旅なれぬ人が外国の見知らぬ街に訪れるという状況に似ていると思っています。

沢山の情報があちこちで手招きすればするほど訪問者の視界は狭くなり、ピントは一点に集中し、迷い、本当に見たいものが何か分からなくなっていく。

ヴィジュアルデザイン以前の、情報デザイン。情報デザイン以前の、言葉のデザイン。
こういうものが非常に大切だなあと思ったのでした。

おまけ:分からないこともある

チェスキー・クルムロフ入口看板

チェスキー・クルムロフ城の入口にある注意事項、左下の絵について。

解釈1:ライター禁止
解釈2:チョビひげは短めに

街中の標識

街中に、唐突にあった公式な感じの表札。

解釈1:車がくるから遊ぶな
解釈2:車も子ども家も、みんな平和なプラハです

Posted on 2010/03/16IDEAS and TOOLS

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